“元”及川先輩のファンです【花巻貴大】

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(及川side)



パイプ椅子にちょこんと腰掛けた彼女は、目をきらきらさせながら俺たちのプレーを食い入るように見ていて。

不覚にも、可愛いな、なんて思ったりもした。



◇



昨日の部活終わりに矢巾が急に話しかけてきたと思えば、その内容はマネージャーのこと。

去年からずっと一人で俺らを支えてくれていた浜嶋ちゃんが居なくなってから不自由していたのは確かだし、やってくれる人が見つかったのは素直に嬉しい。


……が、そんなに簡単にいくものでは無いことくらい、よく分かっていた。

現に、浜嶋ちゃん以外にマネージャーが居ないことが何よりの証拠だ。


きついのだ。ただそれだけ。

それだけでほとんどの女子は、マネージャーを辞めてしまう。


オフは月曜のみ。土日はみっちり一日練。

おまけに遠征も多いし、長期休みには毎回合宿がある。


それプラス、マネージャーは買い出しにも行かなければならないし、部費の管理も基本的には全てマネージャーが担う。


軽い気持ちでマネージャーをやりたいと入部してきて逃げていった子が、何人いただろう。
思い出すだけでもざっと五人はいる。

長くて一ヶ月、短い子は三日で辞めた。



そんなに生半可な気持ちでマネージャーをやってほしくない。



俺らは本気で勝ちたいと思ってるから。




まぁそんなわけでいろいろあって、

浜嶋ちゃんのやってきたことが出来るほど完璧なマネージャーなんて入ってくる訳がないと、俺は正直そう思っていたのだ。



◇



矢巾の話を聞く限り悪い人ではなさそうだったので、とりあえず直接会って話がしたいと言った。


会えばなんとなく分かるかなぁと思って。

このきついマネージャー業に耐えられそうか。



別に期待はしてないけどね。


昼休憩が始まってすぐ、俺は彼女の元へ向かった。

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