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(花巻side)
「え、マジ?!」
こくり、頷く彼女。
確か名前は……松浦さん、だったっけ。
驚いて思わず大きな声を出してしまったことを謝ると、松浦さんは硬〜い笑顔でふるふると首を振った。
無理に笑わなくていいのに。顔引きつってる。
……ってかマネージャー候補来るなら言えよ、及川。
しかもそれが松浦さんだったなんて。
まず年上の男子、苦手なんじゃ……。
まぁこの際そんなことはどうでもいい。
「どうぞ。荷物は隅っこに適当に置いて」
「し、失礼します」
ドアを押さえて中に入るよう促すと、松浦さんはペコペコしながら体育館に入った。
そのまま俺もあとに続く。
時計を見ると四十分過ぎ。
とりあえず、あと五分は誰も来ないだろう。
「じゃ、準備するかー」
うーんと伸びをしながら言うと、背後から「あのっ」と声が掛かった。
振り向くと、俺の真後ろに立つ松浦さん。
俺より遥かに低い位置にあるその顔が、こちらを見上げる。
「……ん?」
やべ、今のはちょっと可愛いと思ったわ。
「準備、お手伝いしてもいいですか……!」
「おー、ありがと。助かるわ」
◇
「____で、ここはこうやって、こう」
松浦さんの隣に立ってネットの立て方を説明していると、ガラ、とドアの開く音がした。
「おはざーす」
「はよー」
すぐに聞こえてきた声に背を向けたまま返事をすると、隣で必死に俺の手元を見ていた彼女が振り返って、「あぁ!」と声を上げた。
その声に釣られるように振り向くと、その視線の先には矢巾。
シューズに履き替えると、適当なところに荷物を置いて真っ直ぐこちらに歩いてくる。
松浦さんは矢巾に向かって、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「おはよ、松浦」
「おはよう」
「花巻さんも早いっすね」
「お、おう。今日はたまたまな」
俺と二人のときより、表情が柔らかい。
……やっぱ緊張してたのかな。いや、そりゃあ緊張するよな。
でも、松浦さんのこんな嬉しそうな顔、初めて見た。
まだそんなに色んな表情見た訳じゃないし、勝手に変な思い込みするのは良くないとは思うけど、矢巾にはこんな顔を見せるのか。
……なんか、ズルいな。
「俺、ボール出してくるわ」
「あ、俺行きますよ」
「いや、矢巾は松浦さんに色々説明してあげて」
「あ、うっす」
きっと松浦さんは、俺より矢巾の方が話しやすいだろうから。
もやもやした気持ちを悟られないように、俺は二人に背を向けた。
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殊梨(プロフ) - 冷凍庫さん» とっても嬉しいです、是非お願いしますm(._.)m (2019年10月3日 21時) (レス) id: a11fe8d0dd (このIDを非表示/違反報告)
冷凍庫 - イメ画を描いてもいいですか? (2019年10月2日 18時) (レス) id: 29ebb411a4 (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 黒伸☆〜(ゝ。∂)さん» 矢巾くんのポジション、どうするか凄く悩んだのでそう言っていただけてとても嬉しいです!ありがとうございます(_ _) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
黒伸☆〜(ゝ。∂)(プロフ) - コメント失礼します。主人公ちゃんとマッキーと矢巾んの三角関係が可愛くて大好きです!ああ!!3人とも幸せになれ!!と思いながら見てます!これからも頑張って下さい! (2019年8月29日 20時) (レス) id: d24404e68a (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 声優LOVEさん» コメントありがとうございます! わー嬉しいです(*/∀\*)頑張りますね〜! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:殊梨 | 作成日時:2019年8月17日 23時