“元”及川先輩のファンです【花巻貴大】

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(Aside)



夜十時。



お風呂から上がって何気無くスマホを手に取り、ソファーに寝転がっていじっていると見つけた、矢巾くんからのLINEの通知。

成績表を開くときのような謎の緊張感と共に、そっと画面をタップした。


『及川さんが「助かる、ありがとう」だって。詳しい話をしたいらしいんだけど、明日は部活？』


表示されたメッセージをさっと読んで、ほっと一安心。


それから水泳部の予定表を確認する。


うん、大丈夫。明日は部活まだないはず。



まだ水泳はオフシーズン。

今の期間は週２でトレーニングがあるだけの、比較的楽な部活内容なのだ。

あとは放課後に毎日各自ランニング。

マネージャーとしての仕事はほぼ無くて、私はトレーニングの日に立ち会うくらい。

だから土日は基本オフ。


「空いてるよ、っと」


送信。

すぐに既読がついて、返事が送られてくる。


『じゃあ悪いけど、出来ればもう明日見に来てほしい。平日だとバタバタして大変だから』


んんー、明日か……。

予定は無いんだけど、心の準備が……。


それでもやると言ったからには、そんなことで躊躇っている場合じゃない。

OK、とスタンプを送ると、すぐに明日のバレー部の開始時間が送られてきた。


「九時、か……」


おっけー、と。


“送信”をタップしてから、スマホを胸に抱えてごろごろと転がる。



明日は、花巻先輩、会えるかな。

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