20 ページ20
(Aside)
木曜日の放課後。
うきうきのみーちゃんに学校帰りにそのまま連れて来られたのは、学校の最寄り駅の近くにあるデパート。
の、化粧品売り場。
棚にずらっと陳列された大量の化粧品たちを前に硬直する私をそっちのけに、みーちゃんは慣れた手つきで化粧品を選び、かごに入れていく。
あ、あれはお母さんが使ってるの見たことある……。
え、あれ何だろう。どこに塗るの？
私はみーちゃんの後をついてうろうろ。情けない。
化粧品、といえば薬用リップしか思い浮かばないほど化粧とは縁の無い暮らしをしてきた私には、化粧の知識は全く無い。
一通り選び終わったらしいみーちゃんがひとつひとつの化粧品の説明をしてくれたものの、私は半分も理解出来なかった。
女の子って難しい。
◇
とりあえずこれ買っとけば外れはないよ、とみーちゃんイチオシの化粧品たちを購入した私たちは、トイレの化粧スペースの台上にそれらを広げた。
お財布がちょっと寂しくなったけど……。
これで自分がちょっとでも可愛くなれるのだと思えば、そんなのはどうでもよくなってくる。
「最初からがっつりメイクは無理だと思うけど、アイラインとかマスカラくらいならいい感じに可愛くなると思うんだよね〜」
あ、あとチークも、とか何とかぶつぶつ言いながら自分の化粧ポーチを取り出したみーちゃん。
なんでここまでしてくれるのか分からないけど、素直に嬉しくてにやしちゃう。
みーちゃんが友達でよかった。
こんなに私のことを考えてくれてる。嬉しい。
ずっとにやにや笑っていたらみーちゃんにどつかれたけど、もはやそれすら嬉しく感じる。
それから数十分、私はみーちゃんに教えてもらいながらメイクの練習をした。
◇
アイラインに苦戦しまくって、やっと完成した私の新しい顔。
鏡を見て、思わず一瞬見とれた……
っていうのは嘘なんだけど、顔はたぶん変わった。
メイク、って聞いたとき、やっぱりゴテゴテしちゃうのかな〜って心配だったけど、全然。
でも目元はくっきりしたし、心なしか表情も明るくなったように見える。
可愛くなったね、と嬉しそうなみーちゃんが、「で」と手を叩いた。
「自信はつきました？」
「……うん、」
「それは良かったでーす」
さ、帰ろっか、とスクールバッグを持ったみーちゃんの後ろ姿に呼び掛ける。
「あの、みーちゃん……！」
「ん？」
「ありがとう、本当に」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 574人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
殊梨(プロフ) - 冷凍庫さん» とっても嬉しいです、是非お願いしますm(._.)m (2019年10月3日 21時) (
レス) id: a11fe8d0dd (このIDを非表示/違反報告)
冷凍庫 - イメ画を描いてもいいですか？ (2019年10月2日 18時) (レス) id: 29ebb411a4 (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 黒伸☆〜(ゝ。∂)さん» 矢巾くんのポジション、どうするか凄く悩んだのでそう言っていただけてとても嬉しいです！ありがとうございます(_ _) (2019年8月29日 22時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
黒伸☆〜(ゝ。∂)(プロフ) - コメント失礼します。主人公ちゃんとマッキーと矢巾んの三角関係が可愛くて大好きです！ああ！！3人とも幸せになれ！！と思いながら見てます！これからも頑張って下さい！ (2019年8月29日 20時) (レス) id: d24404e68a (このIDを非表示/違反報告)
殊梨(プロフ) - 声優LOVEさん» コメントありがとうございます！ わー嬉しいです(*/∀＼*)頑張りますね〜！ (2019年8月29日 19時) (レス) id: 653275ba5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：殊梨 | 作成日時：2019年8月17日 23時
