“元”及川先輩のファンです【花巻貴大】

19《恋する女の子は》 ページ19

(Aside)


マッキー先輩が好きなの。



そんな私の告白を聞いたみーちゃんは、興味無さげに「そう」とだけ言った。


……思ってたのと違う。

なんかもっと、明るい反応してくれるかと思ってた。


「……それ、だけ？」


思わず訊いてしまう。

すると、みーちゃんは優しい笑みを浮かべて言った。


「気付いてたよ。Aがあの先輩のこと好きなのは」

「……え？！」


予想外すぎる返答。


どうして？ 一言もそんなこと言ってないのに。

今日だって、「及川先輩かっこいいね」ってずっとみーちゃんと話してたのに。


「口では及川先輩かっこいいって言っててもさ」


みーちゃんが近付いてきて私の頬をばちんと両手で挟んだ。


「目はずーっと、あの先輩のこと一生懸命追っかけてたよ？」


驚いたのと恥ずかしいのとで何度も瞬きを繰り返す私を「変な顔〜」と笑って、みーちゃんは「だから、」と続ける。


「アタックしてみなよ。当たって砕けろ、って言うでしょ？ 砕けたときのことは砕けたときに考えればいーの」

「砕けたら私だめになりそう……」

「あのねぇ……」


はぁ、と小さくみーちゃんがため息をついて、呆れ顔でこちらを見る。


みーちゃんと至近距離で目が合った。


「きっと自分が思ってる以上にAは可愛いし、もっと自信持つべきだと思うんだけど」

「で、でもそんな」

「女の子ってね、恋してるときが一番可愛いんだよ」


私の頬をぷにぷにと指でつつきながら笑う。

むぅ、と頬を膨らませた私にまた笑ってから、みーちゃんがはっとして私の両肩を掴んだ。


そして、なになに、と驚く私に、にっこにこの笑顔で言った。



「ね、明日の放課後空いてる？ デパート、行こ！」

「空いてるけど……、なんで？」

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