“元”及川先輩のファンです【花巻貴大】

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(Aside)


委員会の召集から戻ってきたみーちゃんが、「手出して」と言ったので、虫でも置かれるのかと思っておどおどしながら出した手のひら。

その上に置かれたのは、１５０円。


「なぁに、これ？」

「バレー部の人から。Aがシュークリーム押し付けた人」

「……ほんと？！」


うそ。いらないって言ったのに。

返してきてよ〜と嘆くと、無理だよそんなの、ってみーちゃんは苦笑い。


「ねぇ、あの人知り合いなの？」

「ううん、全然……」

「え？！」


みーちゃんは元々大きい目を更に丸くして、「初対面？」と聞いてくる。

微妙な表情で「そう」と頷くと、みーちゃんは天を仰いだ。


「Aがそんなに積極的な人間だとは思ってなかったわ〜。いやー、見直した」

「私だってなんであんなことしたのか分かんないよ……」


あんな大胆なことをしておいて何だけど、逃げたあとにじわじわ恥ずかしさが襲ってきて、昨晩は悪夢にうなされた。


それに、私がお金を貰うのはおかしい。

勝手にシュークリームを押し付けたのは私だ。押し売りみたいになっちゃってる。もちろん、そんなつもりは皆無だったけれど。


「いらないのに〜……」


がっくり肩を落とした私を、みーちゃんが「まぁまぁ」となだめる。


「あ、そうそう」


まだ何かあるの？

……もしかして何か言われた？

迷惑、とか？ 確かに、迷惑だったのかも……。


「なによ〜……」


もうただでさえメンタルぼろぼろなのに。

だらだらと顔を上げると、真ん前にはみーちゃんのにんまり顔。


「ありがとう、美味かった。だって。先輩が」

「……ぅ」




マッキー先輩、ずるい。

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