ハーシェルの連星 (ページ8)

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「いいよ、ここまでで」

「えー、俺家まで送るよ」

「ほんと大丈夫、近くだから」

「でも外暗いし心配だなー」

最寄りの駅に着き、改札出てすぐそんなやり取りをしていたら、

「A、」

真後ろから声がした。

「………龍也、」

制服のまま、荷物もそのままで、

部活の後、真っ直ぐ来て待っててくれたんだと思う。

「……」

海人くんと黙って見つめ合ってるから、

「あ、えと、兄…です。

こっちは、海人くん。綾香の友達で…」

「どうも、」

明るい調子で龍也に向けて手を伸ばした海人くんを、

「……」

龍也は一瞥しただけで無視。

「ちょ、」

そのままグイッと私の腕を掴んで、引っ張るように家の方向へと進んで行った。

振り返ると、まだ立ったまま私たちを眺め見送ってくれている海人くん。

軽く手を振った瞬間、

握られた反対手に、更に力が加わって。

ガチャッ

早足のせいか、あっという間に家に到着。

親はまだまだ帰宅しない。

二人きりのリビングで、ほぼ同時に立ち止まった。

「ごめんね、龍也…」

私から謝ると、龍也はようやく目を見てくれた。

「電話待たせて、そのまま切れちゃって。

心配になって迎えに来てくれたんだよね、、

ずっと駅で、荷物も重いのに、待たせて、ほんとごめん……」

縋るように見つめると、

「……全然違うんだけど、」

龍也は上ずったような声でだるそうに呟いた。