ハーシェルの連星 (ページ47)

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ベッドに場所を変え、

お気に入りのジェラピケのパジャマに身を包んでから、

再度龍也を膝の上に乗せた。

「素足はやばい」

自分でそういう商品を選んで買い与えたくせに。

「龍也の誕生日プレゼントじゃん」

「……はは、そうだっけ(笑)」

話を聞き流す龍也に、内腿のホクロをなぞられる。

「ここにもあった」

また一つ、私の一部を知られてしまった。

「……ちょっとずつ変わってきてるのってどこの国？」

話を聞かないように見せかけて、
大事な事は忘れずにいてくれるのが龍也の良い所。

「……ドイツ」

私たちが気にするのは、法律の改正のこと。

「………何年後になるのかな」

遺伝子学上、子孫を残そうとは思わない。

だけどいつか、夫婦にはなりたくて。

「………でもきっと、俺らみたいに直系だと難しいでしょ？」

この事になると、普段ポジティブな龍也ですら、慎重にならざるを得ない言葉ばかりを発する。

それだけに、実現は難しいのかも知れない。

「……私は今のままでも幸せだよ」

「俺もだよ」

ゆっくりと、素肌を撫でながら、

「……でもいつか、Aに幸せな花嫁さんの格好させてあげたい。

それが俺の夢だから」

その儚い笑顔に込められた、

強い愛情に、

もう一生離れないと心は既に約束を刻んでいて。

「いつか母さんと父さんを見送った、その後でもいい。

何年、何十年先になるか分からないけど、俺たちどこかで、一緒になれるといいな」

この世界で叶わないなら、

遠い宇宙に行ったっていい。

何億光年先の星たちに、私たちの願いが届きますように。

「龍也のこと、宇宙で一番愛してる」

そう唱えた瞬間、

目の前の広い銀河が今日も私に輝いた。

Fin.