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「………何て言って断ったの?」






「ボイトレしたいから、大人数はやっぱりって」





「……ボイトレ、する?(笑)」






マイクを手渡そうとした私に、









「先に違うことしよ?」





暗い室内で、


デンモクも開かずに、真横から頰に触れられた。









「っ、」


「……やっぱAが一番可愛い」







振り向かせるように、今度は顎に触れられる。









「……そんなことない」




「あるよ。俺の双子だもん(笑)」






クスリと溢した、


そんな龍也に釣られ微笑みそうになった瞬間、







「っ、ん、」



いつもの角度でくっ付いた。








僅か5秒で離れた。




名残惜しいとさえ思わされた。









「………ドキドキするね、人に見られたらどうしようって」







その声、全てがまるで余韻。








「………店員さん来ないでしょ」





「いや、廊下通るクラスメイトとかさ、」





「………」






サーッと怯みかけた私に、







「大丈夫だよ、暗いから。




それに何かあっても誤魔化すから。

Aだけは傷つかないようにね」








「…………龍、也」









「………もしかして、泣いてる?」









ちょっと感動しただけで、


覗き込む龍也の丸い目が、薄い涙の膜でぼやけて見えた。









「……不安な思いさせてごめんね」





ポンポンと頭を撫でてくれる。







「違う、龍也のこと悪く思ってない」





「うん知ってる。

でも俺は、Aを傷つけることだけはしたくないから」








龍也の真剣な瞳は、ぼやけた私の目にもしっかりと映し出された。









「もしこれから俺が、

Aに嫌われて、他に男作られて、

それでこうやって一緒にいてもらえることなんて、
出来なくなっちゃったとしても、



俺はAのこと変わらず大好きだし、

お兄ちゃんとしてずっと守ってあげるから」









「………、っ」






溢れた涙を堪えることもなく、



正面からぎゅーっと抱き着いた。









「さすがにそこまでくっ付いたら、バレる(笑)」






照れるように剥がされた。







龍也の香水が、あっという間に鼻腔から消える。









例え儚い恋でも、このまま愛したい。

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はるか(プロフ) - 読ませていただきました。切なくて、どきどきして、胸がいっぱいになるお話でした!優しいし龍也おにいちゃんすごくすきです!素敵な作品をありがとうございましたっ (2019年7月28日 4時) (レス) id: 2fad28cd3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年9月14日 20時

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