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「じゃ、また後でな」
そう言って先にお友達が部屋へと向かった直後、
「俺受付してくるからそこで待ってて」
再びベンチに座らされる。
「はい、」
戻ってきた龍也が手渡してきたのは新しいバインダーで。
「俺トイレ行ってあいつらの所寄ってから行くから先行ってて」
「………え、」
色々分からないまま、
預かったバインダーに記載された405という部屋を探す。
そこはとても二人くらいしか入らなさそうな小さな部屋で、
私は一人、電気もつけず落ち着かないままじっとしていた。
「お待たせ、」
ドリンクバーにも寄ってきたみたいで、
龍也は飲み物を両手に持った状態で現れた。
ドアを押さえてあげると、
「ありがと」
「……これ私の?」
「うん」
私の分までストローをさしてくれる。
「Aはカルピスソーダが好きだから」
無邪気な笑顔で笑う、龍也の全てが好きだと思った。
「……さっきの人たちと一緒の部屋じゃなくて良かったの?」
改めて、聞いてみた。
「んー……」
中々答えてくれないのは、龍也のいつもの癖だ。
それでも龍也は、はぐらかさずに言ってくれた。
「……友達も大事だけどさ、
俺もうぶっちゃけ、デートの気分で並んでたから」
「……」
「やっぱ二人きりになりたいなって」
俯き加減の、横顔ですら愛しい。
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はるか(プロフ) - 読ませていただきました。切なくて、どきどきして、胸がいっぱいになるお話でした!優しいし龍也おにいちゃんすごくすきです!素敵な作品をありがとうございましたっ (2019年7月28日 4時) (レス) id: 2fad28cd3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年9月14日 20時