ハーシェルの連星 (ページ23)

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枕を持って隣の部屋に行く覚悟は出来た。

とりあえず『行ってもいい？』とLINEした。

可愛らしいパジャマを着て行こうにも、既に一通りのレパートリーを見せてしまっていて、何の見栄も通用しない。

家族ってこんな時不便だな、

ついさっき妹であることを幸せに受け止めたはずなのに、コロリと変わる自らの心中。

私って本当にしょうもない。

『おいで♡』

ハートの絵文字が悪質に感じる。

私をわざと惑わそうとしている。

『そのハートださい』

態度の悪い妹でしかないことを送ってしまった。

私自身のしょうもなさが更に増していく。

『来るのやめたい？』

「っ、」

これ以上やり取りしてたら、ますますしょうもないことを言ってぶつかってしまいそうだから、

勢い良く部屋を飛び出した。

そしてすぐに龍也の部屋をノック。

ドンドンッ

廊下にまで強く響くその音は、

おそらく部屋の奥にいて、夜寝る前まで音楽を聴いている龍也の耳元にも容易に届けられたはずた。

ガチャッ

「どうぞ？」

ニコッと首を傾げられた。

絵文字なんか要らない。

実物の方が甘ったるくハートを飛ばしてくるもんだから、

私のお気に入りのパジャマ一面にあしらわれたハートマークの方がよっぽど、それ以下というかダサいような気がした。