ハーシェルの連星 (ページ20)

今日:2 hit、昨日:12 hit、合計:213,168 hit

20 ページ20

「Aさんから誘ってくれるとか、衝撃だね」

海人くんは真顔でストローを口から離し視線を上げてから呟いた。

龍也とは違う性格に見えるけど、

この人も距離感がおかしい。

そこだけは龍也と一緒だと思う。

「……海人くん髪切った？」

あまりに近付くから、興味はあまりだけど話題を逸らしてみる。

「あぁこれね、イメチェン」

くりっと毛先を摘む。

龍也と似た明るい髪色が、ファミレスの蛍光灯に照らされただけでシンプルに光を放つ。

「こないだ見たAさんのお兄ちゃん、イケメンだったね」

ヘラヘラとした振りして、

なぜか顔は真面目だったりして。

「でも俺一発で弾かれちゃったけど」

「弾かれたって……？」

「Aさんの彼氏候補」

「っ、」

噴き出す代わりに喉がゴクリと鳴る。

「でもてことは逆に、あのお兄さんに気に入られたら俺Aさんとは付き合えそうな気がする」

勘違いにも程がある。

それに勝手だ。

「……そんな簡単に彼氏とか作らないもん」

口を尖らせた私に、

海人くんはまあまあまあと気安く触れる。

……昨夜、龍也に触れられた頭に、

別の男の人が手を乗せるなんて。

「……触らないで、」

ほんとに龍也のことだけしか考えていたくないのだから。

「今度お兄さんも連れて三人で遊ぼ」

「………」