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龍也と私は、二卵性の双子だから同い年で。
向こうがお兄ちゃん。
だけど元々お兄ちゃんとは呼んでなかった。
昔から口数の少ない龍也は、誰からも好かれはしたけどあまり異性と仲良くはしてなくて。
それを内心ホッとした目で見てる自分に気付いたのは、中学に入り立ての頃だったかな?
「……A、教科書」
「…また忘れたの?」
「早く」
同じクラスになれないのは双子あるある。
だけど物の貸し借りが出来たのは、定番だけどちょっぴり嬉しくて。
そういう気を遣わない関係も、兄妹だからだったのかな。
ある日のこと。
「……ねぇ」
思春期のせいか、一緒に帰ることが減っていた私たちだけど、
突然龍也に呼び止められて。
「お前さぁ、もう俺とは一緒に帰んないの?」
「……え、」
「帰りたくないなら、俺は全然構わないけど」
ちょっと無機質な感じでそう告げた龍也から、
昔とは違う尖ったオーラが感じられた。
ほんの少しだけど見下ろされて、
着ていた真っ黒な学ランが、ああ、男の子なんだって……。
「……帰りたくないとか、私にはないよ」
なぜかその一言が、単純な事実であるにも関わらず、言いにくかったのを覚えてる。
だけど龍也がちっとも嫌そうな顔をしなかったから、
それが嬉しかったのも、覚えている。
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はるか(プロフ) - 読ませていただきました。切なくて、どきどきして、胸がいっぱいになるお話でした!優しいし龍也おにいちゃんすごくすきです!素敵な作品をありがとうございましたっ (2019年7月28日 4時) (レス) id: 2fad28cd3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:踊れる人大好き芸人 | 作成日時:2018年9月14日 20時