私の両親と元お守りには秘密がある様で (ページ9)

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第7話　梅雨の庭先にページ9

今日も梅雨の時期のせいか
雨が先日程では無いが音を立てて降っていた
しかし紫陽花のある庭な為風情があった
そんな景色を眺めながら茶を飲む二人

「どうにも雨のせいか、蒸し暑いな」
国広がそう言いながら休憩室に常備されている
醤油味の堅い煎餅にかじりついた

「蒸し暑いなら、その温かい緑茶を飲むの
　止めたらいいでないの?」
私も同じ煎餅かじりつき
その煎餅を緑茶で流し込んだ

「いいや、緑茶は日本人のたしなみだろう
　俺はそこまでして涼みたいとは思わん」
むしろ私は逆にそこまでして
茶をたしなみたいとは思わないのだが

「あ、お湯が切れた···」
お代わりの茶を淹れる為ポットを開けると
中に入っていた筈の湯が切れていた
「私、ちょっと厨房に行ってくる」
「あぁ、分かった」

休憩室は私達の住まいである離れに近い
対して厨房は本館の客室の方に近い
つまりここから厨房に行くまで多少の距離があった

「ふぅ···」
やっと厨房にてお湯を沸かし終えた
雨は先程より少し止んだ気がした

そして戻りは近道をしようと考え
本来は従業員も滅多に通らない
渡り廊下を通ろうと思った
通る途中に山へと続く
ほぼ手付かずの庭にふと目をやった

······?
大きな木の下に『何か』を見た
もう一度目を凝らして見る
そこには背中が曲がった老人
いや恐らく老婆がいた

···ここの庭はいくら山に
直接繋がっているとはいえ
山は険しい···それ故
山から入って来れる者はそうそういない

つまり『普通』の老人ならば
入れないはずだった
「っ!?」

途端に老人と目が合った
「ﾐ、ﾖｶ···ｵｲﾃﾞｪ」
掠れた声で自身の名を呼ばれる

「ぃ、ぃゃ···!」
老婆の周辺にドス黒い空気が漂う
差し出されたしわくちゃな手が異様に
とても恐ろしかった

そして···とうとう老婆が私の頬をに手を
当てようとした瞬間
"ﾌﾞﾝｯ"
老婆と私の間に美しい白銀色の何かが
割り入ってきた
老婆は飛び驚いて後退りした

「三夜花!」
声の方を振り向く
いたのは綺麗な刀を持った国広だった
「ｵﾏ、エは···」
老婆が国広を怨めしそうに見る

「失せろ、さもなくば···」
睨まれているにも関わらず国広は
動じずにむしろ剣呑の目して刀を構えた
そして老婆は
「ﾋｯｼｼｼ、ﾐﾖｶ、ﾔｸｿｸ、シタ」
と言って消えた