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「…へ、海斗が、…死んだ、?」
18歳になった俺は、やっとお母さんから離れられて、春に大学の寮で生活ができるようになった。
もう、一生あの家に帰ることは無いだろう。
少しここから離れた寮に行く前に大荷物を持ったその足で、懐かしい施設へと向かっていた。
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あの、海斗と施設から抜け出して夜空を見ながら約束した日から、1週間も経たない内に俺の施設暮らしは急に終わりを迎えた。
「げんたー?あんたのお母さんだよ?…覚えてないかぁ、」
突然施設にやって来た、ギャルみたいな、俺の母親と名乗る女の人。
「これから、一緒に暮らそう?」
そのお母さんの言葉に海斗との話が蘇って。
俺にも家族が居たという事実がただただ嬉しくて、施設の先生たちが顔を歪めていた事に気が付かない振りをして、俺はその言葉に頷いた。
それからは、地獄みたいな毎日だった。
お母さんの機嫌が悪い時は、怒鳴られて、蹴られて、殴られる。
機嫌がいい時は、家になんて帰ってこなかった。
「あんたのせいで人生狂ったんだからね!?」
殴られて意識が遠のく中で毎回のように漠然と“ソラノムコウ”について考えていた。
今、俺が、“ソラノムコウ”に行けたら、海斗に会えるのかな?
なんて今思えば馬鹿みたいだとは思うけど、当時は割と本気でそう思ってたんだ。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時