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「…うわ、懐かし、」
海斗とかげとよく遊んでいた公園。
脱走するのは、大抵海斗と二人だったけど。
そんな公園に一歩、一歩とゆっくりと思い出を噛みしめるようにして二人で進んでいく。
お昼時だからか、子どもたちの姿はひとつも無く、大人の俺らしかいなくって。
何だか子どもに戻ったような気持ちがした。
「…夜とかさ、海斗と元太、よく抜け出してココまで来てたよな、」
「…へ、覚えてたの?」
当たり前じゃん、と、笑うかげ。
「だってさ、何故か同室だからって理由で、俺まで一緒に怒られてたんだからな?…ほんっとに、」
「…ふ、それはごめんってばぁ、でも……ほんとに懐かしいな、」
「……楽しかったな、あの頃は。…ほんとに楽しかったっ、」
震える声がしてかげをみれば、下を向いて俯いていて。
ぽたぽたと水滴が砂に落ちていくのが見えた。
「…っ、…かげ、」
なんて声を掛ければいいか分からなくって。
でも、俺達は、絶対に前を向かなくちゃいけない。
…ソラノムコウで待ってる海斗の為に。
「…かげ、……ちょっと、ついてきて、」
「…は、…ぉまえ、…ちょっ、!」
かげを無視してズンズンとジャングルジムを登っていけば、観念したのか、かげも俺を追うように登ってきてくれて。
「…うぉっ、思ったより怖ぇな、」
「…ほんとに、元太ってバカだよな、」
なんて言って少しだけ笑ってくれたかげ。
「…馬鹿じゃねーし、……ん〜っ、まぶし、」
二人でジャングルジムの1番上で横になれば、キラキラと眩しすぎる太陽が俺らを包んでくれる。
ごく自然に目を瞑れば、涙が一筋溢れた。
Fin.
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時