検索窓
今日:8 hit、昨日:23 hit、合計:29,445 hit

. ページ49

.






「…うわ、懐かし、」







海斗とかげとよく遊んでいた公園。





脱走するのは、大抵海斗と二人だったけど。







そんな公園に一歩、一歩とゆっくりと思い出を噛みしめるようにして二人で進んでいく。






お昼時だからか、子どもたちの姿はひとつも無く、大人の俺らしかいなくって。





何だか子どもに戻ったような気持ちがした。







「…夜とかさ、海斗と元太、よく抜け出してココまで来てたよな、」






「…へ、覚えてたの?」






当たり前じゃん、と、笑うかげ。






「だってさ、何故か同室だからって理由で、俺まで一緒に怒られてたんだからな?…ほんっとに、」






「…ふ、それはごめんってばぁ、でも……ほんとに懐かしいな、」






「……楽しかったな、あの頃は。…ほんとに楽しかったっ、」







震える声がしてかげをみれば、下を向いて俯いていて。




ぽたぽたと水滴が砂に落ちていくのが見えた。







「…っ、…かげ、」








なんて声を掛ければいいか分からなくって。



でも、俺達は、絶対に前を向かなくちゃいけない。







…ソラノムコウで待ってる海斗の為に。







「…かげ、……ちょっと、ついてきて、」







「…は、…ぉまえ、…ちょっ、!」






かげを無視してズンズンとジャングルジムを登っていけば、観念したのか、かげも俺を追うように登ってきてくれて。







「…うぉっ、思ったより怖ぇな、」






「…ほんとに、元太ってバカだよな、」






なんて言って少しだけ笑ってくれたかげ。







「…馬鹿じゃねーし、……ん〜っ、まぶし、」






二人でジャングルジムの1番上で横になれば、キラキラと眩しすぎる太陽が俺らを包んでくれる。











ごく自然に目を瞑れば、涙が一筋溢れた。












Fin.

あとがき※追記(お知らせ)有り→←Epilogue



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (79 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
168人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。