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自然と目が開いて、視界に入ってくる眩しい光。
「…んっ、」
「…ぁ、げんっ、…!!」
かげが泣きそうな目で俺を覗き込んでいて。
「……か、…げ、」
俺がかげと呼べば、良かった、なんてかげはポロポロと涙を流す。
何泣いてんだよ、なんて茶化してやろうと思ったのに、彼に抱き締められてそれは叶わなかった。
「…元太も、居なくなっちゃったって、どうしよ、って思ったっ……!」
彼が発したのは、なんともかげらしい真っ直ぐな言葉で。
そっか。
辛くて寂しくて苦しかったのは、なにも俺だけじゃない。
かげだって、海斗が居なくなって、辛かっただろうし。
「……ごめん、…かげ、………ごめ、!」
もう海斗に逢えないのなら、いっそ、死んでしまいたい。
なんて考えちゃいけないこと考えてた自分自身に腹が立って、心配させてしまったかげに申し訳無くて。
「…げんた、目ぇ覚ましてくれて、…ありがとっ、!!」
俺が生きているという事に、泣いて、ホッとしてくれる人が居ることに、かげのお陰で漸く気がついて、おれの頬をあたたかい涙が伝った。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時