2.学園の王子様 ページ8
＊ ＊ ＊
時は過ぎて放課後。俺と仁は雑談をしながらそれぞれの部活に向かおうとしていた。
「文芸部最近どう？」
「うーん、ぼちぼちかな。まだ文化祭まで時間あるし。バスケ部は？」
「順調順調。レギュラーにもなれたし、あとは死ぬ気で実力を磨いて先輩をサポートするだけ」
「運動部の先輩は夏の大会で引退だもんね」
「おう！ んでもって先輩方のお墨付きを貰って近々キャプテンに……」
ニシシと俺が笑うと仁は苦笑いをする。まぁ実際はそこまでキャプテンになりたいかって聞かれたらそうでもないけど。
「アハハ……まぁ頑張って。Aなら大丈夫だと＿＿」
仁が何か言いかけて止める。視線はある一点に注がれていた。何事かと思い俺も仁と同じ方向を見る。
「あ、先輩！」
そこに居たのは俺の先輩だった。
城ヶ崎悠先輩、またの名を学校一のモテ男。
嘘、今俺が勝手につけた。本当は学園の王子様っていうんだ。女子がつけたんだけとありきたりだよな。なんだよ学園って。うちは都立学校、学園じゃねーぞ。漫画や乙ゲーによくありそうで面白味が無い。つーか女子たち夢見すぎだろ。でも実際学校一モテてるのは本当。二番目がうちの仁で、それ以下は知らん。つーか女子もこの二人以外は興味持って無いだろ。
茶髪の髪を軽く掻き上げ、ヒラヒラと俺に手を振りニコリと笑っている。そんな先輩を熱の籠った目で見る女子達。
先輩クソ羨ましいです。そのルックス俺にも分けてください。
「ちょっといいかな邦代くん」
そう言って手招きされる。俺は仁に「また明日」と伝えると先輩の元へ行った。
「何か用ですか？」
「うん、次の生徒会について相談があるんだけど」
「あぁ明後日の」
うちの学校は月に一回、生徒会会議というものが行われる。生徒会メンバーと各委員長が集まって今月の委員会や行事の予定を報告する会だ。
半年に一回各部長も参加する。
この会議で委員会や部活の費用を幾ら出すかも決められるんだ。
「次は文化祭について話すでしょ？ 過去の文化祭のデータを参考にしようと思ってね」
「あぁ、いいですね！ でもそれで何で俺が？」
「いやーそれを生徒会室に持っていきたいんだけど、一人じゃ量が多くて……少し手伝ってくれるかな？」
申し訳無さそうに先輩が目を伏せる。本音を言うと早く部活に行きたいのだが……
「分かりました。その代わり、帰りにジュース奢ってください。キャプテン？」
ニシシと悪戯っ子のように笑いながら先輩に＿＿＿バスケ部の部長でキャプテンでもある先輩に言った。
「あはは、分かったよ。先生に許可取ってこよう？」
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