1.事件当日の朝 ページ3
事件が起こった日の話をしよう。
まだ、平凡な学校生活を送れてた、何の変鉄もない、俺の幸せだったものが、壊されてしまった時の話を＿＿
＊ ＊ ＊
ジリリリッと煩わしい目覚ましのアラームが耳元で聞こえてくる。止めなければいけない。だが体を動かす気力もない。このまま無視して二度寝しようか。そんなことを考えていた時だった。
「煩いんだよ！ さっさと起きな！！」
布団をガバッと剥がされ、鬼ババの声が聞こえると同時にアラームの音が止んだ。
俺の家の起床時間は午前六時。俺はいつもその時刻を過ぎるため、毎度のごとく鬼ババが起こしにくる。鬼ババというのは俺の三つ上の姉貴のことだ。
名前は美冷。共働きで忙しい両親に代わって俺の弁当とかを作ってくれている。俺の世話を焼いてくれてるのだが、この人ははっきり言って恐い。
「んー、起きてる起きてる…………あと五分……」
「あﾞ？」
「起きますサーセン」
ほらな？ 恐いだろ？ 花の女子大生が出していい声じゃなかったよ。
姉の威圧に負け俺はベッドから飛び起きた。
「朝ご飯もう少しだから、先準備しちゃいな」
「へいへーい」
「返事は一回！」
「へい」
「よろしい」
いや『へい』でいいのかよ。姉貴は変なところ細かくて変なところが緩いよな。なんて突っ込みを心の中でしながら洗面所に向かい顔を洗う。誤って水が入っていけないところに入ってしまったが、目が覚めてきたのでよしとしよう。
タオルで軽く顔を拭いているとキッチンの方からいい匂いがしてきた。
「姉貴、今日のご飯は？」
「目玉焼きとトースト。あとコーンスープ(インスタント)」
(インスタント)って要るか？ 「かっこ」って言葉までちゃんと声に出したよあの人。
姉貴の様子を見ると、まだ少し時間がかかりそうだったので、その間に着替えてしまおうと思った俺は自室に戻った。
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