melt【橙】 (ページ19)

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やばいやばい待ち合わせの時間やばい！

ふわっと巻いた髪にオイルをつけ、バッグを持って玄関へと急ぐ。

……危ない眼鏡忘れるところだった。

靴を履きつつコートを掴んでバタバタと駅へ向かう。

駅は人も多いし、見つけられるかな、

なんて思ってたけど、

時計の下にいる圧倒的にオシャレな丸眼鏡の男の子、絶対康二くん。カメラ持ってるし。

手ぐしで髪を整えて、ごめんねお待たせ、と彼の視界に飛び込んでみる。

火が灯ったみたいにパッと顔が明るくなるこの男の子は、やっぱり温かい。

康｢おはよ！今日なんかいつもとちゃうなぁ、かわいい｣

いや、いつもかわいいんやけど…と萌え袖で両の頬を隠す姿を見てこっちも照れる。

康｢よしゃ行こっ！｣

本屋さんは思っていたよりも何倍も大きくて、時間を忘れてしまうくらい魅力的な場所だった。

｢あっこの絵本懐かしい～｣

康｢えっそれ俺も読んだことある！あれやんな、カラスの家族がパン屋さんするやつやんな｣

｢そう、タイトルそのままだけど笑

かわいいよね！ここに出てくるパン、何でこんなに美味しそうに見えるんだろ｣

康｢わかるわぁ～なんかバターの匂いしてくるよな｣

クンクンと本から匂いを掴む康二くんがかわいくて笑ってしまう。

｢見なくても分かる、これはいいバターを使ってますね｣

康｢おん、高級なバターやな｣

2人でキャッキャっと笑い合う。学生のときに戻ったみたい。無邪気で楽しい。