WHITE WORLD【Ryohei.A】2

86【無事に】 ページ36

Side阿部


「どなたかお一人付き添われますか？」


深澤「阿部ちゃん行ってあげて。

Aも阿部ちゃんがいたら

安心すると思うから」


阿部「分かった」


救急車に俺だけが同乗して

病院へと向かった。


みんなは警察に事情聴取を受けて終わり次第

病院に来るらしい。


俺は車内でずっと雪ちゃんの手を握ってた。


ただでさえ細かったのに

さらに細くなった雪ちゃん。


悔しくて、何も出来ない自分が情けなかった。









岩本「阿部！！」


処置室前の廊下のベンチにぼうっと座ってたら

みんながやって来た。


阿部「みんな」


目黒「だいちゃんどうですか？」


阿部「まだ処置は終わってないけど

さっき先生が栄養失調だろうって。

もうちょっと発見が遅れてたら

命の危険があったって……」


佐久間「そんなに……」


阿部「……あれ？ふっかは？」


翔太「今滝沢くんたちに説明してる。

色々仕事の調整とかもあるし」


阿部「そっか……」


そして、処置室のドアが開いて

ストレッチャーで雪ちゃんが運ばれてきた。


岩本「先生。ゆきの容態は……」


「栄養失調なのでしばらく入院が必要ですが、

命に別状はありません。

ただ、雪見さんのご家族はおられますか？」


阿部「はい。おそらくお父さんがいると思います」


「……皆さんもお気づきかと思われますが、

雪見さんは精神的、肉体的虐待を受けています。

これは、警察へ届け出る義務が私たちにはあるのですが、

よろしいですね？」


岩本「もちろんです」

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