オトナになる前に2 平野紫耀

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どうして






思いがいっぱい込み上げてきて



本当に出したいのは声なのに。






言葉にしなくちゃいけないのに。







代わりに溢れそうなのは私の涙。









『A？』









不思議そうに覗き込む彼と


目があってしまって









負けてしまった私の涙が
ゆっくりと頬を伝う。









「、、っ」








『え、、泣いてんの？』









視界がぼやけて彼の顔なんて見えないけど






明らかに戸惑った声の紫耀。









まさか泣くなんて思ってないよね


私もそんなつもりじゃなくて。


そうじゃなくて









「、、泣いて、ない、」









とことんバカな私は
平気でバレバレの嘘なんかついて









だけど本当に言いたいことは中々出せない。









それはきっと私が弱いからだ。







まだ彼の元を離れたくない






そんな思いが埋めていくの









でもそれでも

もうすぐ彼の元から離れなきゃいけない

この現実は変わらない。









だったら今伝えなきゃ






これ以上夢のような思い出が増えて



私の気持ちが溢れてしまう前に。









「紫耀、っ、わたし、」









紫耀が好き









それだけなのに







ねえどうして？









『もういいから』









ギュッと

彼は私を抱きしめてくれる









やめてよ

そんなことされたら 伝えられない









『ほんとしょうがねーやつ』









その言葉と同時に
よりギュッと強く抱きしめられる。









、、まだ一緒にいたい






そんな思いを彼に伝えてしまいそうだった。

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