検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,759 hit

痛みを一針 ページ1

「天使が動き出したぞ」





ぽつりとその一言が落とされ、誰もが息を呑む。


紫の髪をたなびかせた彼女───ベアトリーチェは、じっと耳を澄ませる。





「───おい、『奴』だ。奴がいるぞ!!『終末』を告げる鐘を持ってる!!!」





それを皮切りに、地獄は大きな歓声に包まれる。



ある悪魔は喜び、ある悪魔は驚愕し、ある悪魔は不安げに。



彼女の鋭い聴覚には毒であったが、それも気にならない程度にはベアトリーチェの心も粟立っていた。





「…終末。終末だよぉ。聞いた?終末だってぇ…!あは、楽しいねぇ…嬉しいねぇ…!」





鮮血の如く濃い真っ赤な双眸を、悪意に塗れたハイライトで輝かせる。



ニィ、と頬を引けば、口元からは刃とも形容させる牙が覗き出した。



───今こそ好機。



あの大嫌いな天使共に報復を与える機会であるのだ。



1人、また1人と悪魔たちが飛び立つ。



その中には、ベアトリーチェがよく見知った姿もあった。



金髪の悪魔や白髪の悪魔、銀髪の悪魔に茶髪の悪魔…多くの背中は既に地底から離れていた。





「さぁて…僕も行くとしますかぁ…。…あは」





羽を広げ、ドレスの裾を翻し、ヒールを鳴らして空を舞う。



地上へ地上へ、手を伸ばした。

痛みを二針→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:終末戦記 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:竜胆 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年7月26日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。