テキーラ･サンライズ (ページ13)

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弟と買って帰った缶ビールを空にして在宅残業をこなした日から丸10日。

この仕事はいつ終わるのやら。

それに拍車を掛けて新卒内定者の指導も入ってくる。

もう頭も手も回らんって言うてるやんか…

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「斎藤くん！頼んでおいたコピーやってくれた？？」

“すいません！すぐやります！！”

「山田さん、新規のクライアントにコンタクトは取ったの？」

“はい！やりました！”

「後藤さん！オフィスのデザインは！？もう期限の時間過ぎてるんだけど！」

“あ、すいません！！完成しています！”

猫の手も借りたいこの年度末。

雪は減ったけど、その代わりの風と花粉が酷い季節だ。

あのバーもマスターにも会ってない。

マスターの作るテキーラサンライズ、飲みたい……

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「おー！みんな頑張ってくれてありがとうなー！！！

差し入れや！！みんなで分けて食いやー？」

““社長、ありがとうございます！！！！””

社長が差し入れをしてくれた。

それに部下達が群れる。

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「大倉、ちょいとええか？」

「ぁ、はい。」

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私だけ呼ばれた先は社長室だった。

…なんだろ、嫌な予感がする。

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「大倉には、ほんまに頑張ってもろてるん感謝しとる。」

「それでなんやけどな…」

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…え、待って。

社長……村上くんはいつもマシンガントークなのに

こんな時だけ言葉つまらせてる。

…辞めろってか？

まさか部下からクレーム！？ハラスメント申請来たとか！？

…辞めるわけには行かないし村上くんのこの会社は居心地がよくて、これからもずっとこの会社で働きたいって思ってたのに…

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「お前には負担になるかもしれへんから、迷いに迷ったんやけど。

この会社の取締役にならんか？」

「！？」

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え？…嘘でしょ？

……私が取締役！？

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「まあ、俺が代表取締役社長なんは分かっとるな？

で、この会社も着々と大きなってきて、俺の旧友のやつが2人、今まで社外取締役に携わってきてたんやけど

大倉はやり手やし、お前の事はよお知ってるつもりや。

せやからこれからは経営にも口出しして欲しい。

やってくれるか？」

「えっと…嬉しいお言葉ありがとうございます。」

「返事は後日でもいいですか？」

「おう！ええで！急に言うた俺も悪いしな。
いい返事待っとるわ！」