高校生編 ページ1
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「君さぁ、何回言えばわかるの?一日一つの単語しか覚えられないわけ?それとも頭に自動初期化システムでもついてるの?」
とんでもない毒舌だった。
学年上位に入るだけの頭脳を持っているのも頷ける。
こうなる覚悟はしていたが、まさか猛毒を含んだ言葉で心を抉られるとは思わず、100あったはずの私のライフはすでに0になっていた。
ああ、頭から煙が出そうだ。
「……月島くん」
「なに」
「初期化どころかエラー起きて頭ぶっ壊れそう」
もう計算なんてしたくない。
ていうか数字すら見たくない。
もう無理、数字も毒舌も無理、体が受け付けない、頭の中でエラーが起きてる。
「はぁ……まだ1時間も経ってないけど」
「赤点免れれば点数なんてどうでもいいや……ははっ……」
だから少し休ませてください。
そう心から願った私の、乾いた笑いだけが図書室で響いた。
そもそもなぜ彼が私の勉強を見てくれているのか。
―――遡ること4時間前。
「お願い!数学だけでもいいから教えて!」
「絶対嫌だ。九九から教えなきゃいけないなんてごめんだから」
「九九くらいできるから!!ねぇお願い、赤点とったら親にしばかれちゃうよ!!」
「一回しばかれたほうがいいんじゃないの」
「月島くんの鬼!!!!」
ダメ元で4組に顔を出して、御目当ての彼を探して。
目があった時にすぐに嫌な顔をされたが構わず月島くんにお願いした結果がこれだった。
はじめこそお願いします、どうかお願いしますなんでもしますとへりくだっていた私だけど、3回断られた時点でへりくだる事をやめた。
「……わかった、じゃあ英語で手を打とう」
「馬鹿なの?教科変えたところで僕の気持ちは変わらないから」
ですよね。
「頭パンクしそう、してる、した。息抜きとして胸キュンしたい」
「ちょっと意味わかんない」
机開いたままの教科書に頬をくっつけたまま独り言を呟けば冷静に毒を吐かれた。
もう私もなに言ってるのかわかんない。
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作者名:ビーーグル | 作成日時:2020年1月21日 23時