親切−優しさ＝下心【二 口 堅 治】

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「来週の土曜、暇？」



別に俺だって暇なわけじゃない。

ちょっと気が向いたから誘ってやっただけ。


そんな感じに俺の部屋のベッドでくつろぐAにそう聞けば、彼女は携帯を弄ったままこう言った。



「ごめん、飲み会ある」

「飲み会？……なんの」

「テニス部の集まり。高校卒業してからずっと会ってなかったからさ、久々に会おうって話になったんだ」

「ふーん……」



……なんだ、せっかく誘ったのに。


“俺よりも、飲み会優先かよ”


なんて思っても久々会うとなれば止める事などできないし、そもそも俺に止める権利は無い。

モヤモヤとした気分のまま、あえてなにも追求せずに話を切る。

すると画面を見たままのAが不意に顔を上げた。



「……ヤキモチ妬いてんの？」

「は！？ちげぇよ！！」

「へ〜、妬いてくれないんだ」

「うるせ、ニヤニヤすんな！」



はいはい、なんて適当な返事をした彼女は可笑しそうに目を細め、再び視線を携帯に戻す。

……高校の頃からそうだった。

たかが１つ年上だからって、俺をからかい面白がるのは今に始まった事ではない。

だからこそ、ついさっき思ってしまった言葉は口に出せるはずもなく。

ウキウキしている彼女を横目に小さくため息をついた。

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