June bride.【岩 泉 一】

21 ページ21

・



「なんだこの小さい指輪」

「ん？あぁ……小指用のだね」



それは学校帰りのことだった。

まっすぐ帰るのもアレなので、どこかに寄ろうかと考えていた時、岩泉と目が合い流れで行動することに。

内心滅茶苦茶嬉しいけど……彼からすればなんてことないことなんだろうな。


そんな中、私たちが寄った店は女の子向けの店だった。


髪留めやネックレス、指輪などが売っていて、友達の誕生日プレゼントを見つけるにはもってこいの店だ。



「ふーん……子供用かと思った」

「あはは、まぁ岩泉はこういうの興味ないもんね」

「無いな」



ソッとそれを戻した彼は興味なさげに目をそらす。

それを見て早めに店を出ようかな……なんて考えたとき。



「……あ」

「あ？」

「あ、いや、これ可愛いなーと……」



ピンクゴールドのピンキーリング。

小さな花が付いていて、値段も手頃だ。


買おうかな……なんて悩んだけど、この前クレープやらアイスやらでお金使っちゃったんだよな……



「……もう出よっか。なんか食べに行こ」

「買わねーの？」

「うん」



その時に、諦めたつもりだった。


だけどまさかあんな形で手に入るなんて思ってもいなくて……

これから先もずっと、手放すことはないだろう。

あとがき→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す