June bride.【岩 泉 一】

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「い…………岩泉……！」

「そう、岩泉くんの写真！バレー、バスケ、野球、腕相撲、それからリレーのアンカーの写真まであるよ」

「何それ……」



欲しさのあまり握った拳に力が籠る。

見せびらかされた写真は、確かに写りが綺麗で格好いい。

だけどそんな物につられるほど私は……



「やってくれる、かな」

「やる」

「え、」

「やらせてください！！」



…………つられた。

廊下のど真ん中で手を合わせ、写真だけを見つめる私はきっと変態に近いに違いない。



「じ、じゃあ…………よろしく……」

「うんうん！精一杯やらせてもらう！！」



花嫁役、という言葉に驚いた私。

だけど 岩泉の写真 という素敵なご褒美のおかげで、今度は写真部の彼女が驚くハメになったのだった。



「……っていうか！ちょい待て！！」

「え、なに？」

「なんで私が……いわいずみ……好きなこと知ってるの！？」

「あぁ……及川が言ってたんだ。頼むなら岩泉くん使ったほうがいいよーって」

「なんで及川くんが知ってるのよ！！」



恥ずかしすぎて 岩泉 だけ超早口になったけど、そこ大事。

さっきのは反射というか、咄嗟の出来事だったから何も考えずに引き受けたけど、今思えばおかしいことだ。

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