June bride.【岩 泉 一】

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……特に意味はないと思った。

けど、アレはサイズを測っていたらしい。



「あの時、お前が指引っこ抜いてくれたから助かった」

「よ、よく考えたね……」

「だろ」

「うん、ほんと……凄い」



小指のリングを見つめたまま、そう呟いた。

その時。



「佐藤さん」

「わッ……はい！」

「写真、決まったよ！これなんだけど……」

「……え」



……写真部の部長が、手に持っていた写真。

それは及川くんと私が並んでいるもの……ではなくて。


岩泉が私に指輪をはめているシーンだった。



「及川には悪いけど、本人もいいよって言ってくれたし……それに、こっちの方が幸せそうだし」

「え」

「佐藤さんの顔」

「え！？」



パッと及川を見れば、彼はうんうんと頷くだけでなにも言わない。

そんな、せっかくここまでして貰ったのにこれでいいの！？



「……俺、私服だけどいいのか？」

「うん、大丈夫。岩泉くんの顔は写してないから安心して」

「ま、待って！本当にそれ出すの！？」



……なんて必死に止めたけど、結局結果は変わらずで。

押し切られた私は渋々頷いたのだった。

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