June bride.【岩 泉 一】

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「なに間抜けなツラしてんだよ」

「まッ……失礼な！」



声をかけられ、ふと我に返れば岩泉がすぐ目の前に立っていた。

気を利かせてくれたのか、及川くんは部長となにやら話をしている。



「……他になんか言うことあるんじゃないの」

「……あぁ、誕生日おめでとう」

「そうじゃなくて！……っていうか、岩泉だって今日誕生日じゃん」



……期待した私が馬鹿だった。

ちょっとくらい褒めてくれるかな、なんて思ったけど、綺麗の「き」の一言もなかったし。



「俺の誕生日はいいんだよ」

「なにそれ……」

「つかお前、なんかこの辺細くねーか？」

「あぁ、腰？コルセットつけてるからかな」



つけてる最中は本当死ぬかと思った。

なんとか生きたまま着られた、って言っても過言ではないと思う。

スタイルに自信があるわけじゃないけど、そこまで凹ませる！？ってところまで締め上げられたし……



「……似合う？可愛い？」



何か一言でもいいから、褒めてもらいたくて。

とうとう自分からそう口にした時。



「可愛い…………くは、ないな」

「え」

「綺麗だ」

「えっ」



……目をそらされたままのその一言は、破壊力抜群で。

可愛いよりも、似合うよりも、その一言が嬉しくて。

真っ赤になる頬を抑えることもせず、ただ呆然と岩泉を見上げた。

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