June bride.【岩 泉 一】

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「……てかいうか、よく教会なんて借りれたよね。このドレスだってタダじゃないし……」

「あぁ、それね。写真部の部長、超お金持ちらしいよ〜」

「なにその取ってつけたような設定……」



部長がお金持ちとか、今日イチの驚きなんだけど……

初事実を苦笑いしながら流した後、裾を踏まないように気をつけながらくるりと辺りを見渡す。

あいにく賛美歌やオルガンは聞こえないし、参列席には誰もいないけど……

自然光に照らされたこの協会はまるで映画のようで、女の子が憧れる理由が分かる気がした。



「……あ、そうだ。佐藤さん」

「はい？」

「ちゃんと見せたい人に連絡しておいたからね」

「見せたい人……？」



突然、サンプルを選んでいた部長が顔をあげた。

言ってる意味が分からず及川くんを見るが、彼はニヤニヤしたままドアの方を指差した。



「多分、そろそろ来るんじゃないかな？」

「だから、誰が…………」



来るの、なんて、聞こうとした……けど。

タイミングを見計らったかのようにドアが開き、思わず息を止めた。



「え……」

「いらっしゃい、岩ちゃん！」

「おぅ」



制服じゃない岩泉……

普段着の、岩泉……


じゃなくて。


なんで岩泉がここにいるのか。

私の頭の中は はてなマークで埋め尽くされた時。

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