June bride.【岩 泉 一】

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立ち位置や光が入る向き、顔が映らないようになどとアングルを考えた写真撮影はなかなかハードだった。

手を握ってとか、寄り添ってとか、ブーケを見せつけるように、とか、そういうお題をこなしつつ背筋を伸ばす。

猫背は厳禁！なんて言われちゃったらもう、意識するしか無いしね……



「うーん……サンプル見てもう一回考えるから、二人とも一回休憩しててもらえるかな？」



そう言った写真部の部長はブツブツと呟きながら撮った写真を並べ始めた。

その様子を見つつ ふぅ と息を吐く。



「はぁ…………吐きそう」

「え、なんで」

「コルセット？だっけ。苦しくて」

「あぁ……なるほどね」



左手のグローブを外しお腹のあたりを差すれば、及川くんは どんまい と肩を叩いてきた。

イケメンだからだろう、何回見ても、髪をあげスーツを着た彼は格好いい。


……岩泉の方が格好いいんだろうけど。



「てか、その手袋ってなんでつけるんだろうね」

「あぁ、これ？私もさっき聞いたんだけど、露出を控えるっていう意味と、無垢を表すっていう意味があるんだって」

「へぇ……」

「ちなみに手袋じゃなくて グローブ ね」



及川くんの質問に、ついさっき知った知識を披露する。

私も なんでこれつけるんですか？ なんて聞いたし、やっぱり気になるよね。



「あれ、でも指輪する時って外すよね？」

「うん、それの理由は、今からあなたのものになりますっていう、花嫁から花婿に向けての誓いの仕草……だっけ、確かそんな感じ」

「ふーん……」



なんか、花嫁ってこういうモノをつけるのは当たり前ですよって思ってたけど……

やっぱりちゃんと意味はあるらしい。

写真撮影のお陰でそんな豆知識が増えた。

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