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彼女が好きなものは、俺も好きだったりする。
“メロンパンにハマってる”
なんて言われたらメロンパンを食べ始めるだろうし、もしそれがあんぱんやクリームパンだったとしてもハマってしまうかもしれない。
実際今は炭酸にハマっているようで、新商品を買ってわざと彼女の目の前で飲んでみたり、一本余分に買ってみたり、とにかく彼女が好きだと言ったものはとことん真似をした。
「あ、それ新商品……いいなー、飲みたいなー」
「飲む?」
「飲む!!」
休み時間、すぐ隣の席に座る彼女は、ノートを閉じながら羨ましそうに俺を見上げた。
飲む?とペットボトルを差し出せば、彼女はなんの迷いもなくソレを受け取り、口をつける。
……別に、間接キスが目的なわけじゃない。
ただ共通点が欲しいのと、話題が欲しい。
それだけのこと。
まぁコイツの場合そんな考えには微塵も気づかないんだろうけど。
「え、美味しー!めっちゃりんご!つぶつぶ美味しい!」
「甘くね?」
「甘いのがいいんじゃん!今度買おう……」
「……気に入ったならソレあげるけど」
「え、いいよ!国見が買ったんだし!」
蓋を閉めながらも いいよ! なんて言って首を振るA。
だけどなかなか返す素ぶりは見せない。
「甘いから余計喉乾くし、もう一本違うのあるから。欲しいなら素直に貰っとけば?」
「……なら、貰う。ありがとう!」
「代わりに今度お礼して」
「お、お礼?国見が好きなものってなに!?」
「……さぁ、なんだろ」
あえてはぐらかしたのには理由がある。
好きなもの聞かれて「お前の好きなもの」なんて答えたら気持ち悪いかなって。
それとも塩キャラメルとでも言っておけば良かっただろうか。
もしかしたら彼女もハマるかもしれない。
……なんて考えていた時。
「あ……及川さん!?」
「及川さん?」
「そー!国見、同じ部活でしょ?いいなぁ、お話できて……あー、本当イケメン、かっこいい」
頬に手を当て、ポッと顔を赤らめるその姿。
その視線はまっすぐあの人を見つめていて、俺のことなんてこれっぽっちも見ていない。
……嫌な気持ちがふつふつと湧き上がる。
“なんで俺じゃないの?”
なんて聞けるわけがなくて、ただ及川さんを見つめる彼女を見つめるしかできなくて。
彼女が好きなものは、俺も好きだったりする。
だけど及川さんのことは好きじゃない。
ただ、嫌いでもない。
好きになれない、それだけのこと。
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らててん - 嫉妬してる、くにみん尊い無理好きしんどい(()) (2018年5月24日 21時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - くにみん可愛かったです!くにみんに「お前の好きなものが好き」なんて言われたらヤバいです笑 (2018年5月24日 19時) (レス) id: 0315d3255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ビーーグル | 作者ホームページ:Twitter:@chichichi1208
作成日時:2018年5月24日 0時