悪魔だって恋をする。【HQ!!】

君を撃ち抜くための距離 ページ10

人をその気にさせておいて、告白したら「そんなつもりなかった」なんて、よくある話だ。

そうやって異性で遊ぶ人もいるんだろうけど……

赤葦の場合、根が優しい人だからこそあり得ることだった。


現についさっき、1人振ったらしい。



「思わせぶりじゃんって怒られた」

「あー……まぁ、人の感性は違うからね」

「俺、そんなに親切にした覚えないんだけど」

「それがその子にとっては嬉しいことだったんだよ、多分」



昼休みの教室にて。

隣の席に座る赤葦は頬杖をつき、珍しくムスッとした顔でそう言った。

苦笑いしたままそう返せば、納得いかないとブツブツ言っている。



「……でもさぁ、モテるのに勿体無いよね」

「誰。俺？」

「うん。好きになってくれる子がいっぱいいるっていいじゃん」

「……まぁ、嫌われるよりはいいけど、好きな子に好かれなきゃ意味ない」

「え、赤葦好きな子いるの？」



自分の指を弄りながらそう言った赤葦に聞けば、彼の表情が変わった。

視線をウロウロとさせた後、もう一度指を弄り「さぁね」とはぐらかす。



「へぇ〜、ふーん……いるんだ」

「……なに」

「や、意外だなーと。誰？どんな子？」

「教えない」

「ってことはやっぱりいるんだ」



期待したことは、ない。

彼が自分を好きだなんて、勘違いもいいところだ。

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