悪魔だって恋をする。【HQ!!】

果てなき一方通行 ページ13

隣の席になろうが、お互いにあだ名をつける仲になろうが、及川徹はどこか一歩、線を引く。

つまりどれだけ距離が近づいたとしても、私と彼は結ばれないわけだ。

踏み込めば追い出され、仲良くなればなるほど遠ざかる。


だけど私は及川を諦められずにいた。



「……あれ、及川じゃーん。1人？」

「ごっめーん、逆ナンならお断りしてるんだよね〜！」

「ごっめーん！逆ナンじゃないんだよね〜！」

「……可愛くない」

「よく言われる」



傘をさしながらの下校中。

ふと、バス停を見れば同じく傘を差した及川を見つけた。

営業スマイルを向けられ少しイラっとしたが、それは及川も同じようで、「可愛くない」とすぐに口を尖らせる。

そういうお前も可愛くないぞ、なんて言ったら拗ねるに違いないから言わないけど。



「てかバス待ち？」

「そ。あと2分くらいで来るかな」

「へー、てことは2分ボッチなわけだ」

「ぼっちって言いかたやめてくれる！？」

「岩泉は？」

「岩ちゃんなら用事あるって。置いてかれた」



雨に負けないように、少し大きめな声で話を続ける。

時計を見た及川はふぅ、と軽く息を吐いた。

相方の存在を聞けば置いていかれたと拗ねるし、コロコロと変わる表情は見ていて忙しい。

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