7 ページ7
ジュースを持つ手に力が入る。
ベコッ、と音を立ててヘコんだ容器は冷たくて。
「……ずっと、悩んどった」
「なんで?」
「からかわれてんのかなって。行っても、おらんかなって」
でも、彼はいた。
何分、何十分、何時間、待っててくれたのかはわからない。
だけど帰らずに待っててくれた。
……自惚れる自分がバカに思える。
「A」
「…なに?」
「俺が、待っとるって言うた」
「……え?」
「せやから、俺が待っとるって言うた。Aに言われたわけやなくて、自分で」
…確かに 待ってる と言ったのは治くんの方だ。
だけどそれとからかうになんの関わりがあるのか、バカな私には見当がつかない。
それを知ってか知らずか、彼は話を続ける。
「せやから……別にAが悪いわけやないし、攻めてるつもりもない。それにからかうんやったら待っとるなんて言わんし」
「……うん」
「ただ、一言言うなら……来てくれて嬉しかった」
その言葉と同時に、優しく吹く風。
彼の綺麗な銀髪が、風で靡く。
街灯の一つもない暗闇に目が慣れたからだろうか。
ハッキリと目に映る彼はひどく真剣で、どこか緊張しているように見えた。
110人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しさん - むっちゃキュンキュンしました! (2018年4月15日 14時) (レス) id: 70fbeed7ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ビーーグル | 作者ホームページ:Twitter:@chichichi1208
作成日時:2018年4月15日 12時