P.M.10:05 【宮治】 (ページ2)

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…そういえばその侑くんはどこにいるのか。

彼とはあまり話したことはないが勝手に侑くんと呼ばせてもらってる。

だってほら、宮くんって呼んだら区別つかへんって本人に言われちゃったし。

「……ねぇ、侑くんは？」

「もう行った」

「えっ、置いてかれたってこと！？」

「いや、知り合い見つけたから先に行けって」

……わざわざ声かけるために来てくれたのか。

それはそれで申し訳ない。

「は、はよ行きなって！」

「どうせまだ集まらんし……もう少し話そうや」

「話そうって言われても…うーん、」

「……奢るから一緒に、」

「それは悪いから！っちゅうかその分治くんが食べて！」

まだ続いてたのか、その話…

まぁ確かに男だけのお祭りならば華は欲しいだろうけど、うちなんて華になれへんし。

それに男勢の中に一人飛び込むほど度胸もない。

話せる人も治くんくらいだろうし。

「……なら浴衣だけ、楽しみにしとく」

「せやから行かへんって、」

「来るまで待っとる」

「ちょ、治くん！話を…………あぁ、もう、」

時計を見た彼はそう言いそのまま人混みの中へと消えていった。

なぜそこまでお祭りに誘いたがるのか。

……まさかカツアゲ！？

いや、クラスメイトにカツアゲなんてあるのか……？