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PM23:50
何度時間を見ただろうか。
時計を見てはホッとしてを繰り返してきた中一時間を過ぎれば焦りは出てくるわけで。
「……あと10分ですか」
「……うん」
「なんだか名残惜しいですね」
猫にも感情はあります、なんて言ってたけど…
Aは表情を変えることなくそう言った。
強がってるようには、見えない。
「……Aはそれでいいわけ?」
「…どういう意味ですか?」
「だから、俺なんかにお礼言うためだけに人間になって…自分の死を受けて入れてさ、そんなんでいいのかなって」
「はい。自分の危険も顧みずに助けてくれたあなたは命の恩人です。お礼を言うのは当たり前なんです」
「でも!……俺は、」
「自分を責めないでください。黒尾さんが助けてくれたから私は今、こうやって貴方と過ごすことができたので」
勢いよく立ち上がる俺に反して、彼女はゆっくりと俺を見上げる。
俺を宥めるその口調やその顔は、やっぱり変わらなくて。
「だから私、幸せでした」
オリーブ色の瞳は嘘をつかない。
まっすぐ俺を見つめたまま、本音を語る。
情が湧いたっていうのもあるのかもしれない。
残り少ない命を懸けて俺に会いにきたっていう罪悪感も、ある。
だけど俺はやっぱり諦めたくなかった。
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ビーーグル(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます!きっと心から願ったからですね! (2018年3月20日 0時) (レス) id: 6c5d4b22b2 (このIDを非表示/違反報告)
燐 - 黒尾さん、カッコイイ!願いもちゃんと届いたみたいで良かったw (2018年3月19日 20時) (レス) id: 6aa42038d7 (このIDを非表示/違反報告)
ビーーグル(プロフ) - ミルクさん» 最後は黒尾の「お願い」も叶ったみたいなのでハッピーエンドですね! (2018年3月18日 16時) (レス) id: 6c5d4b22b2 (このIDを非表示/違反報告)
ビーーグル(プロフ) - RI-SAさん» ありがとうございます!黒尾なら少しの時間でも感情移入しちゃいそうだな〜って思いながら書いてました…笑 (2018年3月18日 16時) (レス) id: 6c5d4b22b2 (このIDを非表示/違反報告)
ビーーグル(プロフ) - サブジェクトさん» ありがとうございます!黒猫と黒尾のお話でした( ¯ω¯ ) (2018年3月18日 16時) (レス) id: 6c5d4b22b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ビーーグル | 作者ホームページ:Twitter:@chichichi1208
作成日時:2018年3月16日 23時