好きな子にはイタズラを【国 見 英】

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Aがトイレ行ってる間に勝手に筆箱を漁れば案外色ペンをたくさん持っていることに気がついた。

赤と青のインクを入れ替えたことには未だ気づいていないらしい、アホだな。

それから机に入っている携帯の電源を消して…

って、待ち受け犬かよ。



「あれ、携帯つかない……雨で壊れたかな」

「うん、さっき電源切っといた」

「余計なことすんなテメー！！！！」



…そうそう、昼休みはちょっとからかうつもりが自爆した。

案外怖がりなのか後ろに誰かいると言っただけで金田一に縋り付いている。

内心イラッとしつつそれを表に出さないように彼女を罵った。


そして放課後、気分で呼び出したはいいが今日、告れるはずもなくそのまま部活へ。

多分律儀に待ってるんだろうけど部活が終わるまで気持ちを整理したかった。

まぁ案の定怒られたけどなんとなく、決心はついた気がする。


ジャージ姿で自転車を押しながら歩くAを見下ろす。

すると彼女はタイミングよく俺を見上げた。



「ほんと、なんでくだらないイタズラばっかすんだろ…小学生じゃないんだから」



…確かに。

でも男ってそんなもんだから。

好きな子の前では余裕無くなんのも当たり前。



「小学生じゃねぇけど……男だったらみんなわかると思う」

「…何を、」

「好きな子にはイタズラを」



そう言ったときの彼女の反応の良さよ。

目を見開いて顔を真っ赤にして、 は？ なんて間抜けな声を出してんの。



「好きな子にはイタズラしたくなんの」



真っ赤な頬に手を当てて顔を近づける。

ビクッと肩を震わせ固まる彼女は怒らない。

そのまま更に顔を近づけるとギュッと目を瞑る。

止めることなどせずにゆっくりと、彼女の額へ唇を押し当てた。



「……え、おでこ……え、」

「口が良かった？」

「は！？違いますけど！！！」

「顔真っ赤ですけど」



うるさい、と肩を殴られたが痛くはない。

またガミガミと口うるさく言われるのかと思いきや



「…これも、イタズラ？」



おでこを押さえたままの上目遣いときた。

毎日こう、可愛らしかったらまた違う告白の仕方ができたのかもしれない。

そんなの今じゃどうでもいいけど。

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