好きな子にはイタズラを【国 見 英】

イタズラを。2 ページ2

教室へと入り机に鞄を置く。

そしてすぐ隣で突っ伏している馬鹿の背中を叩いた。



「オイ国見」

「うっ、」

「朝から手の込んだイタズラすんなよ！！！」

「…あぁ、ラブレター？」

「なにがラブレターだ！！！」



強めの力で叩いたからだろう、うっと唸った彼は顔を上げた。

朝練を終えたばかりだからか割と疲れた顔をしているけどそんなのどうでもいい。

怒る私に反して飄々とした態度のコイツが滅茶苦茶ムカつく。



「もう、朝からイライラさせないでよ！」

「…あのさ、なんでそんな濡れてんの」

「話そらすな！！」

「いや、そんだけ濡れてたら誰だって気になるって」



頬づえついた彼は横目で私を見た。

どうやら謝る気はサラサラ無いらしい。

そもそもだいぶ前から地味な嫌がらせを受けているけど謝られた事など一度も無かった。



「…雨降らないと思って自転車乗って来たらこうなった」

「へー、お疲れ」

「髪は滅茶苦茶だし制服重いしイタズラされるし…今日ほんとツいてない」



ジャージ着ようかな、なんて思ったけど時計を見るとあと3分で予鈴が鳴ってしまう。

ブレザーだけ脱いであとは我慢しよう…

そう思った時。



「ぶっ」



顔面でキャッチしたソレは国見のブレザーで、何事かと横を見ると彼は呆れた顔してこっちを見ていた。



「貸す。そのままだったら流石の馬鹿でも風邪ひくだろ」

「馬鹿は余計な気がする！！」



…こうやって、たまに優しいから怒れなくなる。

小さい声でお礼を言いブレザーに袖を通した。

サイズデカイけどなんとなく着心地がいいのはきっと…

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