シチュエーション

6. ページ16

はい、と渡されたソレを口にする。

冷たくてザクザクとした食感のソレは夏の定番の食べ物だろう。

部活帰り、くっついたアイスを半分こするのはもはや定番となっていた。



「んー、美味しい。新発売だっけ」

「うん」

「ミルクキャラメル味って書いてあったからもーちょい甘いのかと思ってたけどそうでもないね」

「どっちかっていうと苦い」

「わかる」



赤いジャージに身を包んだ彼は猫背のままゆっくりと歩く。

それに合わせてゆっくりと歩く私は赤のジャージを着ていない。

なんせ部活が違うし、終わる時間が同じだから一緒に帰ってるだけ。


ちなみに付き合ってない。

あわよくばはあるけど、付き合ってない。


私の恋心になんて気付かない彼はボーッと前を見つめたままアイスを食べている。



「……あのさ、前から思ってたんだけど幼馴染とは帰らなくていいの？」

「…俺と帰りたくない？」



チラ、と金色の猫目に見下ろされ大袈裟に首を横に振る。

ここで勘違いされたら恋心の問題じゃなくなるし。



「いや、そうじゃなくて！なんでわざわざ私と帰るのかなーと…」

「元々部活終わる時間一緒だったし、女子一人で帰るのは危ないから送るって言った事から始まった気がする」

「そ、そうだっけ…」

「確かね。それにクロは一人でも大丈夫。見た目がアレだし声かける人いないと思うから」



…うん、今結構失礼なこと言ったよね。

サラッと。

見た目がアレっていうのは多分 怖い というか 人相が悪い というか、前にそんなこと言ってた気がする。

うーん、研磨は幼馴染に容赦ないのか……

6.→←NGシーン

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