【 キス 部位 】 検索

リクエスト ページ32

月島！と呼ばれ振り向くと同時に彼女は一年のフロアで盛大に転んだ。

教科書も筆記用具もぶちまけたAさんはなかなか立ち上がろうとしない。

仕方なしに歩み寄れば僕を見上げて困った顔でこう言った。



「…足、捻ったかも」

「でしょうネ。物凄い転び方してましたよ」

「あーあー、教科書も、筆記用具なんてあっちまで飛んでっちゃったよ」



立ち膝で教科書を拾い集め、壁を伝ってフラつく彼女の代わりに筆箱を拾う。

糸が少しほつれたソレはだいぶ前に僕が選んであげたものだった。



「次移動でさ〜、教室に忘れものしたから取りに戻ったの。それで月島がいたから声かけたら転んじゃった」

「流れはよくわかりませんけど足元くらいちゃんと見てください」

「ハイ…」



シュンと落ち込んだAさんはまたフラつく。

…あぁ、これはダメだな。



「ってかもう行かないと……ッわ、」

「その前に保健室」

「えっ、いいよ！そんな痛くないし月島遅れちゃう！」

「あとで痛いって言われてもその場に放置して帰りますけどいいですか？」



彼女を姫抱きしてそう言うと ドSかよ！ と困った顔をする。

そんな困った顔も視線も無視して廊下を歩くとチラホラと視線を感じた。



「ッ……待って、死ぬほど恥ずかしい」

「僕は廊下で盛大に転ぶ方が恥ずかしいですネ」

「二重の意味で恥ずかしくなるからやめて！」

「暴れないでください落としますよいいんですか？」

「そしてその場に放置されて見捨てられるパターン…」



大人しくなった彼女を抱いたまま階段を降りる。

落とさないように、しっかりと抱いたまま。

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