甘い ページ1
朝の電車は凄い。
通勤、通学ラッシュの中ぎゅうぎゅう詰めになりながらの登校だ。
狭く苦しい中、降りた時の開放感はすざましい。
にしても、今日はなんか多すぎないかッ……?
これ降りれなかったらどうしよ……
次の駅に着き、人がまた乗ってくる中そんなことを考えた。
「もう少し詰めてくださーい!」
駅員さんのそんな声を聞きながら少しずつ詰めていく。
……うッ、苦しい……。
てかこの暑い中ほんと勘弁してほしい、本当に。
身動き1つ出来ないほどの混み具合に、小さくため息をついた。
そんな中、トントン、と肩を叩かれ
振り向くとそこには目を丸くした瀬見が立っていた。
「お、やっぱ佐藤だった」
「あれ?瀬見って寮生じゃなかったっけ……?」
「訳ありで昨日家に帰ったんだよ」
「なるほど」
瀬見とは同じクラスで割と仲がいい……と、思う。
よく話すし。
「朝から瀬見と会うのって新鮮」
「朝から会えてラッキーだろ」
「え、別に?」
図星、思わず即答した。
別に瀬見と朝早くから話してみたいとか思ってたわけじゃないし、会いたいとも思ってないから。
……多分。
「なんだよ、素直じゃねぇな」
「なに、なんか文句ある?」
「別に。そんなところも……」
「……?ッ、わ、」
瀬見の口ごもるような言葉に耳を傾けようとした時
急にブレーキがかかって思わずよろめいた。
「びっ……くり、した」
「……俺も」
2人して目を合わせ、パチクリとさせる。
「大丈夫か?」
「う、うん………」
………あ。
「ご、ごめん、」
「ん?」
瀬見に寄りかかるような形になっていて、思った以上にくっついてて。
それに気づいた時恥ずかしい気持ちが湧き出てきた。
「どうした?」
「え、いや別に……」
「なんもないのに謝る奴じゃねーだろ?」
「うるさいな、なんでもないってば!」
しつこく聞いて来る瀬見にそう言ったとき。
顎を掴まれ目を合わせられた。
「お前、素直になれば可愛いのにな」
「……は?」
「俺にだけでも素見せろよ」
「なッ、はぁ!?何言ってんの!」
この混んでる電車の中、何人の耳に入るかわからないのに
呆れた顔でそう言った瀬見。
呆れたいのはこっちなんだけど、こんな、馬鹿なの!?
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作者名:ビーーグル | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/chichichi1208
作成日時:2017年7月12日 23時