恋に期間は関係ない。【赤 葦 京 治】

高校入学 ページ5

______時は流れ、高校入学。


まだ一ヶ月しか経っていないのに無性に彼女が心配だった。


まぁ、でもその心配もすぐに消える。

だって……



「えっ」

「……おはよう」



1年6組の教室、真新しい制服に身を包んだ彼女は教室に入るなり俺を二度見三度見してきた。

その場で立ち止まり体を震わせている。



「なッ……んで、赤葦が、」

「言ったじゃん、またねって」

「いや、そりゃ、まっ、だって、いや、」

「落ち着いて」



テンパって鞄を落としたままのAにそう言えばふぅとゆっくり深呼吸し始めた。

そして思い出したように鞄を拾い上げる。



「落ち着け、落ち着け……落ち着けるかぁ！」

「Aうるさい」

「私の涙返せ馬鹿葦！！」

「いいから席座りなよ。話はそれから」



掴みかかってくる彼女を押し戻せばフラッとしつつも椅子を引き腰をかける。



「………なんでここにいるの」

「それは俺のセリフ…って言ってもいいよね？」

「いやいやいやまず赤葦から！」



タンッと机に拳を乗せ怒ったようにそう言われた。

まぁ怒るのも無理はない。

Aからすれば根拠もなしに また会える と言われたのだから。

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