折りたたまれたラブレター。 【菅原孝支】

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授業が終わり、一気に騒がしくなる教室。

鞄を肩にかけた菅原はあの子の姿を探した。

…が、席を見てももう既に姿は無く。



「スガ？なんか探してんのか？」

「佐藤！」



不思議そうな顔をする澤村にそう言った後、菅原は急いで廊下へ向かい階段の下を覗いた。

…そして、笑顔を浮かべる。



「……佐藤！」



階段を降り切ったAに声をかけると、長い髪を揺らして振り向いた。

少し距離はある、だが 自分を見上げる彼女もイイ なんて思いつつ口を開く。



「また明日！」



いつもならしない挨拶、でも今日は少し頑張ってみたようだ。



「…うん、またね」



小さい声だけど、菅原には届いたらしい。

その返しが嬉しくて満面の笑みを見せた後、肩をガシッと掴んだのは澤村だった。



「ニヤニヤしてないで部活、行くぞ」

「わーかってるって！」

「…なんか今日、随分頑張ってんな」

「だべー！一緒に登校してさー、そんで話して、指切りして、バイバイって言って…あー、幸せ」

「はいはい、旭待ってるから早く歩け」



悶える菅原を引き気味に見た澤村はそう言った。

少し歩いた先には ヒゲ ロン毛 でかい の三拍子が揃った男が立っている。

その三拍子こと、東峰旭はホッとしたように口を開いた。



「…あ、いたいた。置いてかれたのかと思った…」

「置いていってもよかったんだけどな」

「大地…てか、スガ機嫌良さそうだなぁ」

「ちょーっといい事あってさ！


……って、雨降ってんの？」



笑顔でそう言った後、窓を見た菅原はそう言った。

そして一言、



「ねぇ、佐藤に傘あるか確認してきていい？」

「馬鹿、心配しすぎだっつーの」

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