構ってちゃんの恋心 【黒 尾 鉄 朗】

い ページ10

いい匂いがするのと、あったかいのと


太い腕に包まれる心地よさ




「……まさかあんなビビるとは思ってなかった」




私の頭を撫でながら、


反省したようにそう話す黒尾先輩




「……わた、私こそ……泣いて、すいません」




安心した後、少し冷静になって


今度は黒尾先輩に抱きしめられてるという意識が強くなった




「泣き止んだ？」


「……はい、」




ソッと離れると腕が解かれ、


自分から離れたくせに少しの寂しさを覚えた




「心配で、あと追ってさ……


そんで、見つけたから意地悪したくなっちゃって」


「……意地悪されるより褒められた方が嬉しかったです」


「はいはい、ごめんって」




拗ねる私に苦笑いの黒尾先輩




「……にしても、


手あげて「命だけは！」ってか…」


「あ、あれは！そのっ……」




確かに、今思えば誘拐犯もびっくりだ


両手あげて震える足で立つ姿なんて


側から見たらお笑いものだろう


でも、




「わ、私からしたら笑い事じゃないんですからねっ」


「わかってるって」




そう言いながらも笑う黒尾先輩


絶対面白がってるでしょ！

黒→←さ

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