構ってちゃんの恋心 【黒 尾 鉄 朗】

！ ページ15

「……やっぱ、自惚れてよかった」


「…あ、それ、昨日の……」


「そ、佐藤ちゃんはわかんなかったみたいだけど」




昨日の「自惚れてもいいやつ？」って言葉


理解した




「俺に好意があるからそんなこと言ってくれたのかなー思ってたんだけど」


「そうだったみたいです！」


「……佐藤ちゃんて照れないね」


「まぁ、本当のことですし……？」




でも実は


ちょっと恥ずかしかったりする


だって、好きな人に「好き」って言うなんて


誰だって恥ずかしいことじゃないか




「……黒尾先輩は、私のこと好きですか？」


「……それ、今聞く？」


「え、今じゃダメですか！？」


「うん、待って。なんの準備もできてない」




顔を押さえたまま、黒尾先輩はそう言う


赤い耳とか、掠れた声とか


見てるだけで胸がギュッてなって、


「あ、可愛い……」なんて思っちゃう




「……ね、佐藤ちゃん」


「はい？」


「好きだよ」


「………エ」




不意に来た「好き」と言う言葉


これには、さすがの私も……




「……待って下さい黒尾先輩やめて下さい」


「おやおや〜？佐藤ちゃんも真っ赤じゃないですか」




顔を隠すも、どうやら手遅れだったようで


指の隙間から覗いた時


嬉しそうな顔をしてる先輩を見てまた胸がギュッとする




「……じゃあ俺はとっくに気づいてたってわけだ」


「何にですか？」


「ん？


構ってちゃんの恋心に」

あとがき→←輩

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す