No.10 黄色とポッキーゲーム ページ10
〆．
もうこの世界にいたくない。
涙なんてとっくに枯れて、渇ききったすべて。
屋上のフェンスを乗り越えようとした私を
あなたは引き留めた。
「まままままま待って！？死ぬ前にちょっとお願いがあんねんけどっ！」
生徒会長の中間淳太。
一応、先輩。
いつも冷静沈着、毅然とした態度で全校生徒の前に立つ彼が、
こんな風に取り乱すなんて。
面白くて、ちょっとだけ話を聞いてみようと思った。
「どうしたんですか？」
そんな必死な顔するんだから、よっぽどのことだろう。
死のうとしてる私に頼むなんて切羽詰まりすぎじゃ…
「ポッキーゲームしよ！！」
「…………はい？」
「はい！？ええん！？良かった、ポッキー持ち歩いてんねん！」
まさかこの人。
人の話は自分の都合のいいように解釈するし
かなり馬鹿で
その上、モテないのでは………？
クラスの女子はかっこいいとかなんとか言ってたけど
少なくとも女性経験ない感じする。チェリーボーイ。
「別に了承したつもりないですけど、まぁどうぞ」
どうせ数時間後にはこの世にいない予定だし。
「ほんなら、まずこれ持って！」
「いやいやいやいや、なんで？なんで袋に入ってるやつ全部掴んでるんですか？」
「チョコのとこ、ぎゅ〜って持って。溶けるくらい」
意図がわからない頼み事だ。
「それでよし！そのまま、チョコついてへん方くわえて！」
「一本ずつ？」
「全部に決まってるやん！！」
鼻息荒くなってる。
私がポッキーを複数本持って食べるだけの時間だ。
「そうしたら何が起こる？そう、Aちゃんの手の熱で溶けたチョコの部分を味わえる！そのままじっとしてて」
「最高に気持ち悪いですね。あと名前知ってたんですね」
「Aちゃんとポッキーゲームするために生きてきたからな」
「とんでもない目標掲げて人生歩んでたんですね」
ときめきゼロのポッキーゲーム。
先輩がえげつない音を立ててポッキーたちを食べ進め、
唇が届く頃には
「まじで快感。この食べ方癖になる」
「………これ以外の食べ方見つけられるまで、付き合ってあげますよ」
ガラッと気持ちが変わってしまったのだから、
本当に不思議な人と出会ってしまったと思う。
「ちなみに付き合うって、男女の仲ってことやんな！」
「ほんとその耳都合いいですね」
〆．
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ユニコ(プロフ) - ありがとうございました！ めっちゃ完璧で良かったです (2019年12月8日 15時) (
レス) id: d962cdde80 (このIDを非表示/違反報告)
アイオライト - No29-31をリクエストした者です！最高でした、特に31は兄弟設定がベストオブベストでした…ありがとうございました！これからも応援させていただきます…！ (2019年12月2日 19時) (レス) id: dcdc3602ad (このIDを非表示/違反報告)
のら - はゆなさん、いつも読んでいます！更新、とても楽しみです＾＾ (2019年11月15日 11時) (レス) id: 1a62da02fe (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - うらぬす。さん» ええええ！うらぬす。様！コメントも、読んでいただけてることも嬉しすぎて泣きそうです……ありがとうございます！そして勝手にお名前出しちゃってすみませんでした。私もうらぬす。様を応援し、更新楽しみにしておりますので…！ (2019年11月10日 15時) (レス) id: 0477dc60f8 (このIDを非表示/違反報告)
うらぬす。(プロフ) - いつも作品読ませていただきます…！オススメされてると聞いてすっ飛んできました(*´-`)まさかいつも読んでるはゆなさんから読んでいただいてると知らずお恥ずかしい限りです…！これからも影ながら応援させていただきます！ (2019年11月10日 14時) (レス) id: 3c9d0a7e5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2019年10月21日 18時
