リトルキャンディー (ページ10)

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〇その2 ページ10

「こたろなに食ってんの」
『お！ふうさんええとこに！』

撮影が終わったらしいふうさんは、俺のとなりに座ってきた。今日はぴったり隣に座ってきてるから、構ってほしい日なんやなぁ。

『見てふうさん、ハート型』
「はぁ…？」

カップアイスの蓋についたバニラアイスのハート型を見せる。
あ、全然興味ないやん。わかりやすい。
ちょっとかなしいなあ。
別にええけど、と思いながらバニラアイスをもう一口。

「こたろ」
『なにー？』
「あ」

あ、食べたかってんなぁ。口開けて俺の太ももぺちぺち叩いてる。別にええけど。

『美味しい～？』
「もう一口」
『はいはい』

ふうさんもバニラアイスがお気に召したみたいで、もっともっとってぺちぺち催促してくる。俺の妹も小さい頃こんな風に食べたがったなぁ。

そうこうしてるうちに小さなカップアイスはあっという間になくなってしまった。

「バニラアイスうまいな」
『やろ～？』
「なくなるん早いなぁ」
『せやなぁ』

育ち盛りの俺らにとって、正直もう少し食べたいって気持ちはある。
YouTube撮影までは時間があるし、買いに行こうかなぁ。

「こたろ、アイス買いにいこ」
『ふうさん、アイス買いにいこ』
「うわ、かぶった」
『うわ、おんなじこと思ってた』
「ハッピーアイスクリームや」

以心伝心が嬉しくて、顔を見合わせて笑いあう。そうだ、みんなの分も買ってきてあげよう。帰ってくる頃には、3人の撮影も終わってるはずやから。
みんなで食べるアイスクリームは、きっともっと美味しいやろなぁ。