【ωrωrd!】踏切の向こう側【短編集】

にゃあ/gr ページ31

・猫主です


玄関の扉を開ければ、いつもは直ぐに迎えに来るAが来ない。名前を呼んでみるも全く反応がない。
Aのベッドへ行くがおらず、Aがいそうなところを全て探す。

「A？」

Aが見つからない。かれこれ十分近く探しているのだが、気配すら感じられない。
猫らしく鳴いてくれればおおよその位置は把握できるのだが、今日は鳴き声どころか物音すら聞こえない。
窓などは開けていなかったし、少なくとも家の中にはいるだろう。どこか隙間に入っているかもしれない。ひとまずソファーに放置していた黒いコートをハンガーにかけようとコートを持ち上げようとした。
いつもよりも重量のあるコートに引き上げた手を止めると同時に、一対の目がこちらを見る。

「A、お前そんなところにおったんか……」

黒いコートに同化していたAが驚いたのか尻尾を膨らませる。

「お前全身黒いから分からんかったわ」

普段であれば直ぐに俺の呼び掛けに反応するから、恐らく寝ていたのだろう。
しゃがんでAを抱きかかえる。逆立っていた毛が徐々に落ち着いてくる。安心させるように撫でれば、だんだん楽しくなってきたのか俺によじ登ろうとする。手を寄せれば甘噛みされた。

「お前は本当にかわいいな」

喉をぐるぐる鳴らすAは気持ち良さそうに目をつむる。
人類が娯楽の対象ならば、猫は愛玩だ。鼠の一匹も捕れないような野性のかけらもないAを愛でて暮らすこの日々も悪くない。


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リク「飼い主grと猫主」
ありがとうございました！

リクエストはこれで一旦区切りです。以前言いましたが再開するまではリクエストを送られてきても流すので悪しからず。再開してから書くとかじゃなくて、消化済みとして処理するってことですからね。感想は待ってます！

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